今までは母親からの仕送りで自炊していた胚子にとって、着床して
胎盤を得ることはまさに
実家ぐらし。
経済的にも能力的にも厳しい胚子にとっては
胞胚腔から手が出るレベルで欲しいものです。
しかし、子宮に到達したからといってすぐに着床がおこるわけではありません。
胚子も子宮も、この時点ではまだ胎盤をつくるのに十分な用意ができていないのです。
子宮に到達してからの動きを、胚子側、子宮側に分けて見ていきましょう。
胚子側
胚子は子宮の筋肉の運動によって着床の準備ができるまで
子宮内を漂い続けます。
この間、子宮腺から分泌される酵素により胚子のアルブミン層は分解され、さらに胚子が透明帯を破って出てくる(
孵化)ので、胚子はかなり身軽になります。
こうなると胚子は
胚盤胞という段階になり、包んでいたものが無くなったのでどんどん大きくなっていきます。
この時も子宮腺から栄養(
子宮乳)が分泌されているおかげで胚盤胞は成長できます。
胚盤胞の外側の膜は
栄養膜と言われ、栄養膜がこの子宮乳を吸収しています。この栄養膜もまた成長し増殖し、とうとう子宮と繋がるプラグ(
絨毛)を生やすようになります。
絨毛の生え方はウマでは全体的に生えますが、その他の種では多くが部分的です。
※ちなみに絨毛が生えた栄養膜を
絨毛膜と呼びます。
絨毛が生えたところで、胚子側は胎盤形成の準備が完了! ということになります。
子宮側
着床時期が近づくと子宮内膜は厚く増殖し(
着床性増殖)、子宮腺も一緒に肥大増殖します。
さらにこうした子宮内膜の変化に合わせて子宮筋も増大して血液が沢山入ってくるようになります。
こうして子宮内膜をふかふかべットにリフォームすることで胚子の受け入れ体制が完了となります!
胚子と子宮両方の準備ができると、いよいよ胚盤胞(胚子)の絨毛が子宮内膜と接着して、
胎盤という子の成長に極めて大切な接着構造が出来上がるわけです。