着床形式

着床では受精卵が着床し胎盤をつくるまでの流れを説明しました。
このページでは着床の仕方(胚盤胞と子宮内膜との位置関係)が動物種によって随分異なることを見ていきます。

着床形式

哺乳類の着床の仕方は大きく分けて次の3種類があります。
1)中心着床……子宮内膜の上にいる
2)偏心着床……子宮内膜のヒダに埋まる
3)壁内着床……子宮内膜の深部(子宮内膜固有層)にまで引きこもる
それぞれの着床形式で何が起こっているのでしょうか?
一つ一つ見ていきましょう。
中心着床
子宮内膜の上にちょこんと乗っかって大きくなる形式。
ほとんどの哺乳類はこの型で、おそらく着床と聞いてイメージするような単純な形式がこれです。
絨毛は子宮内膜に差し込む形になって栄養を受け取りますが、子宮内膜の細胞を破壊して侵入したりはせずに握手をしているイメージ。

偏心着床
げっ歯類の胚子の型で、子宮内膜にできたヒダの中に埋まってその中で大きくなっていきます
ヒダはいずれ胚子を包んで閉じ、胚子の絨毛は子宮内膜の細胞を分解して内部に差し込む形になります。なので中心着床よりも母体と密接です。


壁内着床
ヒトやチンパンジー、モグラ、ハリネズミなどがこの型で、胚子の絨毛が子宮内膜を溶かし上皮を突破、その深部まで自ら引きこもって大きくなります
子宮の内部の空間という意味で子宮腔という用語がありますが、偏心および壁内着床では結局のところ子宮腔に胚子は存在せず、子宮の壁の中に胚子がいることになります。
絨毛は胚子自体が内膜を突破しているので当然母体に差し込みますが、差し込んだ絨毛からもっと小さい絨毛が生えていて、さらに栄養吸収効率が良くなっています(血絨毛膜絨毛胎盤)。


このように、一言で着床と言っても動物種によってそれぞれ異なる形態の着床が起こっています。
胚子が子宮内膜と接着するということは栄養を与える母親とくっつくことです。そのくっつき方がより密着しているほど、すなわち、より母体と一体化しているほど栄養を受け取る効率が良くなります
このくっつき方と栄養効率の関係は胎盤の組織を見ると上手いことできていて面白いです。
 →参照:上皮絨毛性胎盤血絨毛性胎盤血絨毛膜絨毛胎盤

参考

動物発生学 第2版 文永堂出版 2012
獣医発生学 学窓社 2011
獣医繁殖学 第4版 文永堂出版 2012

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